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・Windows の 管理者の設定 のバックアップ(No.10)


IPAセキュリティPT評価版?

Windows の 管理者の設定

攻撃者や悪意あるプログラムに特権昇格を許すと、被害の拡大や他の端末、サーバーへの拡散が発生します。従って、管理者権限は限定的に使用される必要があります。ここでは、Windows における管理者の特性と対策を述べます。

ビルトイン Administrator とビルトイン Administrators

  • ビルトイン Administrator
    • ローカル管理者、ローカルAdministrator などと表現されることがあります。
    • 既定では、 UAC なしで完全な管理者権限が実行でき、リモート接続の際も UAC が適用されません。
    • アカウントロックアウト、アカウントの有効期限、パスワードの有効期限、ログオン時間が適用されません。
    • ビルトイン Administrators から削除できません。
    • Windows 10 はビルトイン Administrator は Default で無効となっており、Install の際の最初のユーザーがビルトイン Administrators に所属します。
    • Administrator の ID はグループポリシーで変更が可能です。
    • Windows Server では Default で有効となっています。
    • ドメインコントローラーの場合は、ビルトイン Administrator は存在せず、代わりにドメイン Administrator がビルトイン Administrator として機能します。
  • ビルトイン Administrators
    • ローカルグループ Administrators に所属するユーザーです。
    • UAC が適用されます。
    • アカウントロックアウト、アカウントの有効期限、パスワードの有効期限、ログオン時間が適用されます。
  • ビルトイン Administrator の課題
    • アカウント名が公知かつロックアウトされない
      ブルートフォース(総当たり)攻撃を受けてもアカウントがロックアウトされないため、強度の低いパスワードが設定されていると破られる可能性があります。グループポリシーでビルトイン Administrator の ID を変更する必要があります。
    • UACが規定で適用されない
      悪意あるプグラムが設定変更やリモート接続が容易となります。グループポリシーでUACの適用を行う必要があります。

ビルトイン Administrator の脆弱性(水平展開)

すべての端末、サーバーのビルトイン Administrator のID、パスワードが共通の場合の脆弱性

  • この脆弱性は多くの組織で端末の初期設定の際に、ローカル Administrator の ID、パスワードを共通にし、セッティングやサポートの管理負担を軽減する慣習を狙ったものです。
  • 前提条件 [#t839235a]
    • 端末、サーバーのビルトイン Administrator の ID、パスワードが共通である
  • 実行可能な戦術 [#h735c132]
  • 水平展開
    • 共通 ID と共通パスワードが摂取できれば、他の端末、サーバーへのリモートアクセスが可能となります。

ドメインユーザーがビルトイン Administrators に所属している

  • ドメインユーザーがビルトイン Administrators に所属している場合、マルウェアが侵入すると、マルウェアはビルトイン Administrators で許可される行動が可能になります。例えば、レジストリの改ざんや、ビルトイン Administrators の資格情報の窃取が容易になります。資格情報の窃取に成功すると、ネットワーク情報を参照し、他の端末への接続を試みます。また、管理者権限で悪意あるプログラムのインストールが可能となり、永続性の確保や、アンチウイルスの無効化やファイルやフォルダのアクセス、改ざんが可能となります。
  • ローカル Administrator は Default で UAC なしで接続が可能なため、こうした攻撃ベクトルを遮断する設定が必要です。

ローカル Administrator の攻撃の緩和(水平展開の防止)

  • ローカル Administrator のパスワードを一台ずつ、ユニークにします。Microsoft から提供されているツール LAPS (Local Administrator Password Solution) が無償で利用可能です。
    • ローカル Administrator のパスワードを使ったリモート接続ができなくなるため、攻撃者は水平展開に失敗します。
  • グループポリシーで、Administrator の ID を他の ID に変更します。
    • 攻撃者のAdministrator 決め打ちでのブルートフォース攻撃や辞書攻撃が緩和されます。
  • グループポリシーで、ビルトイン Administrator の UAC の制御を強化します。
    • これにより、他の端末へのリモート接続でユーザーの承認が必要となり、攻撃者はリモート接続に失敗します。
  • ドメインユーザーは標準ユーザーとし、ローカルの管理者として登録しない。
    • ドメインユーザーの権限を制限し、大規模な拡大を防止します。